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「誰が恋人たちの夜と決めたのだ」男は呟いた。



男は20歳、恋人など人生で一度もできたことがない。もちろん人並みに恋愛に憧れるし、好きな人もいた。

保育園のとき、いつも一緒にお絵かきをしていたさっちゃんが好きだった。小学校のとき、クラスの学級委員長の早乙女さんが好きだった。高校に入り、隣のクラスの高嶺さんが好きだった。

そもそもクリスマスはキリストの誕生を祝うキリスト教の祭日である。その前日のクリスマスイヴを『恋人たちの夜』と決めたやつは誰であるのか、それが男にとって問題であった。一年に一度、どうしてこんなにも惨めな思いをしなければならぬのか。大体クリスマスイヴを恋人と一緒に過ごすという風習は日本だけのものなのだ!そう呟きながら日々は過ぎ、また今年もその日がやってきた。

当日、男は神社の境内にいた。クリスマスイヴの境内など誰もいるはずがなく、境内はいつにも増して静けさが漂っていた。ここなら心を乱されることもない。目をチカチカさせるイルミネーションもないのだ。ここあるのは、ただ口から水の出る竜だけなのだ。男は賽銭箱に小銭を投げ入れると、大きな鈴を鳴らした。低い音が虚しく境内に鳴り響いた。

おや?向こうに人影が見える。境内の掃除をしている巫女さんのようだ。ふっ、と男はその巫女さんに意識を奪われた。凛としたその佇まいに一瞬で男は見惚れてしまったのだ。男はふらふらとその巫女さんに近づき、声を掛けていた。
「すみません」
男はふつと意識を取り戻した。何をしているのだ。声を掛けてどうする?私は誰にも心を乱されないためにここにきたのだ。それに声をかけて一体何を話すというのだ?


一体どうすれば……!!?

「さっちゃん!?」





一年後のクリスマスイヴ。


男は呟いた「誰が恋人たちの夜と決めたのだ」


さっちゃんは微笑みながら答えた「さあ?でも…幸せよ」


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無題

クリスマスイヴって恋人達の夜だったんですね。初めて知りました(笑)
2006/12/30(Sat)05:28:27 編集

無題

非国民やな。笑
吾妻 2007/01/09(Tue)20:20:08 編集
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